映画「空白」から考える【うつ病】の正体について

古田新太さん・松坂桃李さん主演、吉田恵輔さんが監督を務める2021年公開の「空白」という映画をご存知でしょうか。

正直、あまり人気が出るテイストの映画ではないですが、個人的に2021年に見た映画で圧倒的No.1の作品です。

僕がマネージャーを務めるポッドキャスト「境界線上に生きる」のエピソードでも、何回か紹介をさせていただいてる作品であり、人生の中で初めて自分の「価値観」が揺らいだ作品でもあります。

今回は元うつ病患者の私が、「空白」から学ぶことができる、うつ病の正体について解説をしていこうと思います。

映画「空白」のあらすじについて

ネタバレになってしまうと申し訳ないので、「空白」の紹介はYoutubeの予告編と映画.comより引用させていただきます。

「ヒメアノ~ル」の吉田恵輔監督によるオリジナル脚本作品で、古田新太主演、松坂桃李共演で描くヒューマンサスペンス。女子中学生の添田花音はスーパーで万引しようとしたところを店長の青柳直人に見つかり、追いかけられた末に車に轢かれて死んでしまう。娘に無関心だった花音の父・充は、せめて彼女の無実を証明しようと、事故に関わった人々を厳しく追及するうちに恐ろしいモンスターと化し、事態は思わぬ方向へと展開していく。悪夢のような父親・添田を古田、彼に人生を握りつぶされていく店長・青柳を松坂が演じ、「さんかく」の田畑智子、「佐々木、イン、マイマイン」の藤原季節、「湯を沸かすほどの熱い愛」の伊東蒼が共演。
引用:映画.com

予告編を見ていただければわかる通り、かなり重たい映画です。

ただ、真面目に解説するとこの映画のキーポイントは、【娘に無関心だった父、充】が娘の死を機に、時間的にも精神的にもぽっかりと【空白】が生まれてしまうことによって、【心が荒み壊れていく】ということだと思います。

そんな父の充を見た時に、まさに自分が経験した【うつ病が発症したメカニズム】と同じだ、と感じました。

うつ病の正体とは精神的・時間的「空白」

うつ病の正体とは一体なんなのか。それがこの映画のタイトルにもある「空白」です。

ある大きな事象、もしくは継続的に肉体的・精神的な負荷がかかると、そこに「精神的、あるいは時間的な空白」な発生します。

大量の仕事や課題に追われ、それのタスクが完了した後のちょっと放心状態が、この「空白」に近いと思います。

僕の場合は、ベトナムに渡航する前の2016年から躁うつの症状に悩まされていました。

3ヶ月に1回、短い時は1週間、長いときは1ヶ月弱のうつ状態になっていたのが、コロナ禍をきっかけに仕事・恋愛・家族・友達付き合いの全てがうまく行かなくなるという強烈な出来事によって、躁に戻ることのないうつ状態に落ち込んでいくことになったのです。

映画「空白」の登場人物である父・充の身に起きた、【娘の突然死】こそ、僕でいう【コロナ禍】であり、幸か不幸か父・充はうつにはならず、【怒り】に代わることになりました。

いや、そもそも躁うつってなんぞやって方に関しては、以下の岡田斗司夫さんの動画と僕の症状がほぼ合致しているのでご覧ください。

時間的、精神的な「空白」は人に何をもたらすのか

ここで僕が言いたいのは、性悪説を説いた荀子の思想にもあるよう、時間的もしくは精神的な空白は不安などのネガティブな感情しか呼び起こさない、ということです。

思い起こしてみると、なぜか寝付けない夜には変な考え事をしてしまい、不安になってさらに眠れなくなる、という経験は誰にでもあると思います。

そう、空白はネガティブな感情を呼び起こし、これが永遠と”自分の中で”回り回ってる状態が、うつの正体なのです。

僕は冒頭で、この映画「空白」によって、『人生の中で初めて自分の「価値観」が揺らいだ』だと称しました。

ポッドキャストを聴いている方ならご存知かもしれませんが、僕は「人間の本質は光だ」と思っている性善説信者であり、いかなる困難に陥っても人間として善の思想を持ち続けるという意味での光を見失うことはない、と考えていました。

ただ、この考察からもわかる通り、時間的・精神的な「空白」は、人に怒りや憎しみ、妬みや嫉みといったネガティブな感情である暗闇をもたらし、光を見失ってしまう、という意味で『自分の「価値観」が揺らいだ』のです。

そう考えると、映画のタイトルを「空白」としたのには大きな意味があり、またこの映画にぴったりのネーミングだな、と感動すら覚えます。

光の影には闇がある、光と影は表裏一体、ということを認識できた点において、また「空白」は人間にとってネガティブな感情しか呼び起こさない、という意味で、この映画「空白」は2021年で最も素晴らしい映画と感じるのでした。

ポッドキャスト【境界線上に生きる】のマネージャー。1994生まれ、ベトナム人顔の日本人。大学卒業前からベトナムに渡り、約4年間現地で働きながら一般的なベトナム人に触れ、生活に溶け込む。趣味はソロキャンプや読書、「墨子」が人生のバイブル。長年躁うつと共生しており、また重度なうつ病歴がある世界観で言葉を綴ります。

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